レインウェアって、雨を防ぐだけじゃだめなの?
レインウェアは本来、外側からの雨が衣服の内側に侵入するのを防ぐための衣服です。
その意味では、レインウェアの役割としてはとにかく外からの水に対する壁を作ればいいと思いますよね。ところが人間の身体の場合、話しはそんなに単純ではありません。
人間は激しい運動をしているときはもちろん、止まっているときでさえ、たえず発汗しています。このためもし、雨具が単なるビニールのような1枚のシートであった場合、外からの雨は防いでくれる一方、服の内側はからの汗は外に逃げられません。その結果、身体は蒸れてきて不快に感じてしまいます。それだけならまだしも、ムレが激しくなると身体は濡れてしまい、場合によっては危険な状態を招きかねません。ただ、大昔であれば、それでも無いよりはマシと我慢していたのが実際でした。
外からの雨をシャットアウトし、内側からの汗を外に逃してくれるのが「防水透湿生地」
そこで現代では、外からの水滴は通さず、内側からの水蒸気は通すような「防水透湿生地(素材)」が生まれました。この素材の仕組みをざっくりと説明すると、生地の裏面に特殊なコーティングを施すことにより、
水の分子よりも小さく、水蒸気の分子よりも大きな孔の空いた構造
を作り出します。
生地の内側にある湿気をどれだけ多く外側に逃すことができるか、その度合いを表す性能を「透湿性」といいます。
透湿性能の表現は、素材1平方メートルあたり24時間に何gの水分を透過したかを数値「透湿度 (g/m2/24hrs)」で表します。大人一人が1時間あたりに放出する発汗量の目安は、
- 安静にしている時:50g
- 軽い運動時:500g
- ランニングなどの激しい運動時:1,000g
にもなります。つまり透湿度 5,000g/m2/24hrs というのは、24時間で5リットルの水蒸気を排出する = 1時間で約200gの水蒸気を排出できるということになります。安静にして、少し運動する限りでは十分だけど、本格的に運動しようとすると、もう少し大きいほうが安心、といった透湿性であることが分かりますね。
参考までに、当店のレインウエアでは
「エントラントシリーズ」が、最も透湿性に優れたムレにくい素材を用いた商品
となります。ただ 、それでもランニングのように一時的に大量の汗をかくシーンにおいてはまったくムレを感じないという訳にはいきません。ウォーキングや自転車通勤・通学程度の軽い運動ならば常に快適で、透湿性の高さ(=ムレにくさ)を実感していただけるかと思います。